~ ひなたぼっこ ~ ショートストーリー
~ ひなたぼっこ ~ ショートストーリー
冬の季節にもかかわらず、
眩しいと感じるほどの光が窓から差し込んでいる。
数日たくさん降った雨でお空がとても澄んでいるわ~
っと私は思った。
そのことにきっとあなたも気がつきなさったのね。
あなたは足の指の爪をきっているようで、
背中を丸めて縁側に座っていた。
陽光をシャワーのように浴びているあなたの背中も
台所でしばらく、食器の後片付けをしていたわたしの瞳(め)には、
眩しくて、眩しくて・・・
そして
暖かくて、暖かくて・・・
あなたにお茶を差し上げに来たのだけれど、
わたしは猫のように、音も立てずにスっとあなたのお傍に擦り寄った。
陽光と、さっきまであなたが燻らしていた煙草の香りと、
あなたの匂いを胸いっぱいに吸ってみた。
わたしの身体は、幾重もの暖かさでとろけそうになった。
そしてとろけて、そのままあなたの中に流れ込みたくなった。
そんなわたしの気持ちをわかっていらっしゃるくせに、
一体君は、何をそんなにうっとりした顔しちゃってんだい?
なんてとぼけたお顔で、あなたはわたしをみていらっしゃる。
でもそれは、あなたのいつもの癖で、
その裏には、
わたしのことが可愛くて可愛くて仕方がないんだよ、
そんな照れ隠しした、あなたの想いが見え隠れしていて
わたしはついつい笑ってしまうの。
そしてあなたは、
お茶いれてくれたんだ
っていいながら、お湯呑みではなくて、
わたしの手を引き寄せて、そのまま抱き寄せようとするのだけど、
そうすると今度はわたしの癖で
ダメよ、ここ縁側じゃない、、、って身を硬くするの。
本当は、
本当は、
この瞬間、この陽光のように温かい、
あなたの腕と胸に強く抱きしめられたいのにね。