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イランのTEHRANより日々思いついた言葉を発信しています。

カテゴリ:短編( 18 )



短編 ”小さな国”




明日という日を拒んでるなんてことは認めてないのに、この口からは幾度となくため息が漏れる。
深夜営業の店の看板がせわしく瞬く国道254号線をひとつ曲がって路地に入れば、ひとつふたつ灯りのついてたり、ついてなかったりする住宅が続く。

見上げた空に輝く星の光はあまりに他人行儀な視線でみつめるから、そんなに寒くもないのに上着の前を両手で合わせて重ねてた。

街灯の光は不十分で、ここで誰かにあたしが今襲われたって相手の顔なんてわかりゃしない。
声を微かにあげられたところで、カップルの痴話喧嘩に思い込まれて誰ひとり気にする者はないだろう。
そんな情景を浮かべてはひとつ曲がり、またひとつ角を曲がってアパートのドアの鍵を開けた。


敷居をあがる前の靴置き場の横には、ガスコンロが一つと違法に取り付けた湯沸かし器。トイレさえもドアの外の通路の向いにあるボロアパート。こんな安アパートの二階ではなく一階しか借りられない今のあたし。トイレは外で、シャワーもなく湯沸かし器しかない小さな、小さな部屋には、収納ボックス四つ横に並べてベッドがわりに。それから姿見と本棚がひとつ。


それでもここは、それでもここは、確かにあたしの小さな国。










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by Maryam051144 | 2016-03-13 04:44 | 短編






星ではなく、街灯や家々の灯火が遠くせわしく瞬く都会。

その瞬きは、スパンコールがたくさんついた、昔流行った歌手が着てるステージ衣装にみえる。

それでも光がないよりマシで、ずっとマシで…。

星降るようにみえた故郷は、すでに帰るあてなどない。



陽射しさえも淀んでしまう、都会に住み着き住み慣れた彼女は、希望や願望の上にかかった黒い布に、色とりどりの数多のスパンコールを今宵も縫い付け、自身の心を偽るようになっていた。





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by Maryam051144 | 2016-03-07 08:00 | 短編








いつだってあたしの馬はオーバーヒートするまで暴走する。


そして走ることに無我夢中になった馬は、

どこをどんなスピードで、

あたしを乗せて駆けているのかもわからなくなってしまう。


そんなあたしの馬を固い絆で結びつけて置ける人なんてこれまでいなかった。

あたしにだってできやしないんだもの。

これからもきっと無理。




たとえもの好きな御方が現れて、

きつくきつく綱であたしの馬を結いつけられたとしても、

なんにもならないことを知っている。



いつだってあたしの馬は駆け回りたがり、駆け回っていて、

よほどきつく縛りつけたって、

あたしの馬の口にかけた手綱になんてならないもの。


それでもあえなく断絶した使い物にならなくなった綱が、

切れ端でも残していたらそれをみて、

じゃじゃ馬と化したあたしの心は、

人の心の形態を取り戻すのだろうか?




・・・そんなおとぎ話のようなことはないねえ。




そう、それならいい。


あたしはあたしの馬に口輪をはめよう。



あんたの口には輪なんてはまってないじゃない?!

あんたはあんたの口に自分で輪をはめることなんてできないじゃない!!


なんて想像力の欠片もない人に何を言われたっていいの。


あたしは全く気にしない。



ダイヤモンドやルビー、サファイヤ、

まして流行りのパワーストーンなんかにゃ、

まったく興味をそそられないあたしの口輪には、

そんな石ころの変わりに、虹の七色をした甘い金平糖をはめ込むの。



じゃじゃ馬の心模様で七変化する虹の金平糖。



そしてあたしの胸ん裡(なか)でこのじゃじゃ馬が、

落ち着き無く長い時間駆け回り続けていて、

血糖値が下がって血圧があがっていたら、

それを一粒、二粒爪ではがして口に含んで、

金平糖が夜空彩る、おとぎの国の夢の世界へと向かわせてしまおう。




そしてどうしても、

停止させなければいけなくなった時には金平糖のかわりに、

じゃじゃ馬の目を盗んで幾つかはめ込んでおいた正露丸をその口へと放り込むの。


さすがのじゃじゃ馬もお腹の裡にあるもの全部排出せざるを得なくなって、

脱水症状起こして止まらずにはいられなくなるから。



正露丸を放り込む時だって、かけはやるあたしの心をこう欺くの。


これは黄金の金平糖に黒糖をまぶしたものなのよって。


舌が痺れるほど甘味なのは、世にも希な金平糖だからなのって。








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by Maryam051144 | 2015-08-30 21:09 | 短編




カンカンと陽の照らす

茹だるような昼下がりの庭を


そんなものはまったくもって

なんでもないさと


澄んだ涼しい眼差しでみつめるあなたに


猛烈な暑さを放ち続けたこの夏の日々




来る日も



来る日も



私のこころは




どれほど癒されたことでございましょうか






しかし今朝


仄かに秋に色づく風に響き透る


あなたの美しい声を耳にしたとき




わたしは



あなたとのお別れを



予感したのでございます







熱き燃える季節が訪れたとき




澄んだ涼しいあなたの御姿と声に



必ずや再び




お逢いできますことを……










軒の下風鈴さま












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by Maryam051144 | 2015-08-17 23:58 | 短編




村の神社の神木のイチョウは、面(おもて)を空に向け、境内横の狛犬に胸の裡を語りしとか・・・




ああ風は、匂(に)を運び過ぎあの影近づく徴(しるし)告ぐ・・・

まことつまらぬ業を終え継母待つ家路の途、つんつるてんのスカートには傷だらけの膝小僧、瞳にみえるは茶目っ気とおなじ程の寂しさと、まあるい唇愛らしくあの娘は風と競いあい我が懐に駆け寄れり

根元に置かれし廃れた遊器具へと醒めた赤のランドセル、ポンっとむげに投げ放つ


あの娘に我差し出(いだ)す最下の枝に腕をかけ幹の突起に足を置き、あの娘は小さな身体の重み両手両足交互に委(ゆだ)ね我が懐(ふところ)へと登りくる、小さな胸には呼吸(いき)弾まして…


今日あの娘は学校で何があったか我知らん

昨日家で継母に何言われたか我知らん


あの娘の瞳は深い深い孤独の湖(うみ)の色湛え、我はただただそれのみぞ知る




あの娘は小さな身体の重み両手両足交互に委ね我が懐へと登りくる、小さな胸には呼吸(いき)弾まして…




わが腕(かいな)は小さき腰抱(いだ)き、いざ手向けん、空と海とがあいみる処

緑の血管透ける頬歓喜でうっすら朱に染まり、琥珀色の瞳の大きく見開かれるを、
我うっとり、うっとり眺むればこのひとときぞ夢心地


日暮れ告ぐる西風は我が思慕冷やかさんと取り囲み、その恥ずかしさで身は震え、我は思わず枝揺らめかす、葉のざわめきはおさまるをしらず


遠く蒼く浮かぶ海

その漣(さざなみ)と

君よ

君よ

耳にしてはくれんか





いつか君を空へ、胸にいくつもの傷負う君のなにものからも傷つけられぬよう


われいつか君を空へ

君を空へと連れゆかん・・・








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by Maryam051144 | 2015-08-07 13:56 | 短編


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短編 〜スポットライト〜




半年ぐらい前には真っ白だったと思われる、

着古して黄ばんだシャツをまとった少女は、

2年前にはちょうどよかったけれど、

今となっては、引き締まった小動物の脚のような彼女の腿を、

ほとんど隠すことができてないスカートを身につけていた。


最後に切りそろえたのはいつだろうか?というほどに不揃いな、

肩を5・6センチ越して伸びた髪を無造作にひとつに結き、

公営集合住宅の空き地と隣接した畑を囲ったネット、その上のわずかなスペースの上に、

器用に腕と脚で絶妙なバランスを取りながら、

身軽そうな細い身体を委ね、彼女は座っていた。



それは、よく晴れた初夏のことだった。

夕暮れにはまだ早い時刻で、微風が出てきていた。

少し傾いてはいるが、真夏を思わせるように輝く日差しを、

顔にも、全身にもスポットライトのように浴びながら座っている彼女は、

顔を少し左へむけ、奥二重の眼を細めていた。

整った目鼻立ちを少し歪ませたその表情は、

6・7歳と思われるその少女を、

思春期の娘よりも大人びて見せていることに、

わたしは驚きを隠せなかったのだった。



カメラ片手に散歩していたわたしに気づいても、

彼女は姿勢も表情も変えずに座ったままだった。



彼女が一体いつからそうして、どこを見ているともなく、

風景と風に馴染むようにゆったりと座っていたのか、わからなかったが、

そうしていることは、わたしが思うほどには、容易でなかったのかもしれない。



驚かせないようにゆっくりとそっと近づき、

こんにちは 


っと少し離れたところから、わたしは彼女に声をかけた。





”今”に溶け込むように座っている彼女のこの姿を

cameraに収めたい衝動に駆られたからに他ならなかった。

それを彼女に伝えようと声をかけたのだったが・・・





すると彼女は猫のように全身のバネを縮めてから伸ばし、

座っていたとこから小さなつむじ風を起こすかのように、

わたしの目の前に降り立ったのだった。



こんにちは・・・

わたしから何を言われるのか?


っと、不安そうではあったがそれを隠すかのように、

それまで一文字に引き締めていた唇の端をあげて、

微笑するようにして彼女は答えたのだった。




そしてこういう結果を思慮することなく、

彼女に声をかけてしまったことを、

その後長いこと、わたしは後悔することになったのだった。












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by Maryam051144 | 2015-07-12 21:55 | 短編

短編 〜織姫〜



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三つ目の湯呑を空けたお天道様が、

”それじゃそろそろ・・・”

っと重い腰をあげた時、織姫さまはホッとした。


”お天道様ったらいつものように、

小一時間もここに居座っていらっしゃるんだから・・・

きっと今日が何の日なのかすっかり忘れていらっしゃるのね。”




今日に限らず、織姫さまは忙しい。

年に一度しか戀しい人に逢えないから暇なんじゃない?ってみんなは思い込み、

彼にあえなくて寂しいんじゃない?なんて勝手に同情して、

招きもしないのに、お茶の時間になれば、毎日のように誰かしらが戸を叩く。


”ご心配無用、そんなこと全然ありませんから、ひとりにさせて!”


なんて本心を言おうものなら、遠いあの人の耳に届く頃には


織姫さん、悠々自適にお暮らしよ、誰かいい人できたのかしら・・・


なんて話になっているのが怖くて、本当の気持ちなんて言えないけれど。



織姫さまことアタシは忙しい。

年に一度しか戀しい人に逢えないから忙しいのに・・・


だって、一年の間にしてさしあげたいことを、

たったの一日、この許された一日でしなければいけないんですもの。


彦星さまが春夏秋冬過ごしやすく、快適にすごせる衣服をこしらえるだけでも、

大変なことだって、なんでわかってくれないのかしら???

しかも、この一年の間に彦星さまがいったいどれぐらいお太りになられたのか?

お痩せになられたのか?去年のままなのか?

わたしは知りえようもないのだもの。

だからわたしは少し太めと、細めと、そのままの大きさで毎年仕立てるの。




それから旬の山菜や木の実、果物を日持ちするように大量に乾かしたり、

たまに貴重な兎や鹿や猪の肉が手に入ったら塩漬けにしたりもする。

これも一年分こしらえて差し上げるの。



晴れて所帯をもつその日まで、

彦星さまにはお健やかでいてもらわなければ・・・

健康の要は口にするもの、そうよ食材でしょう?

彦星さまはアタシより十以上も年が離れているんだもの。




一年に一度しか逢えないから、涙が川になっちゃうほど泣き濡れてる女だって、

アタシは今も世間にそう思われている。

確かにそうではあったけど・・・


一年でも二年でも、泣くだけないたら女は、

現実に沿った将来設計をして、日々を生産的に過ごすようになるものよ。

諦めるんじゃなくて、今許されていることを黙々とこなして日々を過ごすの。

夢見る甘ちゃんだったアタシだってその例外じゃなかったってこと。


彦星さまに差し上げるものを捻出するのも大変だって、

そんな素振りは微塵もみせはしないけれど、

生きるってことはタダじゃないし、タダじゃすまない。

わたしは職業婦人でもあるのよ。


ロマンを食べては生きていけない。

いつまでもロマンを食べ続けられるのはむしろ男性、彦星さまの方じゃないかしら?



泣いてる暇なんてありゃしない、これは本当のことだけど、知られてはいけない・・・

決して誰にも、彦星さまにも!


大和の国のジュリエットを名乗り、

ロマンを背負い、胸に抱き、美しくも切ないヒロインであり続けるの。





嗚呼、今宵はいよいよ天の川を渡り、あの人のもとへ。


戀しくない、、、なんていったらそれはそれで、もちろん嘘になる。




水面にアタシを映してみると、

一人暮らしが身に染まり、たくましく過ごす生活感が

顔にも心にも滲みだしてきたみたいにみえる。

容姿も衰えていく一方なのね・・・

目の下の隈も、ほうれい線も影を増し、

今夜はもう、隠し様がないんじゃないかしら?

どうか褪せた色香が、少しでも闇夜にまぎれますように。



・・・ダメよ、ダメ!そんな弱気は絶対にダメ!


疲れてしょぼしょぼになった瞳を見開き、

口元には夜露にぬれた花びらのような笑みを浮かべ、

張り詰めた肩、前かがみになって丸まった背筋は

天井から吊り下げられたようにピーンと伸ばし

去年よりも更に厚目に化粧を施し、

この肌の色が少しでも映える衣の袖に腕を通し、


千年、万年までも褪せず変わらぬ想いを胸に、

年に一度の待ち焦がれた逢瀬への溢れる想いに瞳を潤ませ、


今宵、天の川原で同じように、出逢った頃と変わらぬ瞳で待っている


あの人の元へ

あの人の胸の中へ


































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by Maryam051144 | 2015-07-08 04:11 | 短編






短編  月影のなき秋にぞ想う







あなたとお逢いすることがなくなって、随分久しくなりますね。



こちらはもうすぐ木枯らしが吹き、秋雨が降り続き、

周囲の山々の峰に雪衣を纏わせてしまえば、

あっという間に冬となるでしょう。




あれは偶然だったのか、必然だったのか?

先日、久しぶりにあなたの御姿を拝見いたしました。


天の采配があまりに巧妙であったからか、

わたしはしばらくの間、それがあなただと気がつきませんでした。


勿論、今でもそれは明確ではありませんし、

その事実を確かめるために、それをあなたに問うだけの勇気は、

今のわたしには・・・

いいえ、おそらくこれからもずっと、わたしには御座いませんでしょう。




わたしがそう感じたのは、

わたしが初めてあなたにお逢いしたあの夜と同じように、

心も、そして身体も、ガタガタと震え、

その震えは指の先へまで及んだからでした。


わたしはその自分の身体の反応から、

唯そう思い込んでいるだけなのかもしれません。





あなたの横顔と、振り返った時の笑顔は、

あなたの営みで溢れていました。

そしてその笑顔がわたしに示していたのは、

あなたの瞳に映る、時々の風景であり、

あなたの日々に欠かせない人や物や色、香りであり、

様々なあなたの心の象でもありました。


そしてそれは、あなたとお逢いしていた時も、

また、お逢いすることがなくなった今でもやはり変わらず、

わたしとはかけ離れた、遠い遠い異郷の風景でもありました。





テレビのモニターを介してはおりましたが、

その御姿を嬉しくもあり、寂しくもあり、懐かしく、

その情景の中に溶け込んで、わたしは眺めていたように思います。




あなたは、相変わらずわたしのこころを揺すり、揺らし、

その振動は、心から全身に伝わり、わたしの指先まで浸透していきます。


そしてそれが、あなたとお逢いできなくなった理由でございました。




今こうして再び、偶然あなたの御姿を目にしたことが、

わたしにどのような影響を及ぼすのか、及ぼさないのか、

わたし自身にもわかる術はございませんが、

偶然目にしたあなたの御姿を、

わたしは自分の心に、刻みつけてしまったのだろうとは思っております。





そして、あなたの瞳が映していた遠い異郷のような景色の中の処々に、

蜉蝣のように浮遊するわたしの亡骸をみつけるにつけ、

過去であったにせよ、記憶となってしまったにせよ、

あなたとわたしが同じ空の下で触れ合っていたことに気づき涙するのです。







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あはれ知る 人失ひて久しきを 月影のなき 秋にぞ想ふ








寒い、厳しい季節がもうすぐやってまいります。

どうぞご自愛くださいませ。

















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by Maryam051144 | 2015-06-09 11:50 | 短編


物語詩   〜 オアシス 〜






風が吹き抜ける


四方八方

東西 南北より


風が吹く


何処から何処へ

どんなふうに吹くのか

風にもわからぬままに





砂漠の熱き黄砂さらい

はるか南方より

風は至りて覆い尽す

灼熱の太陽の光さえ






ラクダ連れた商隊は

行く手阻まれ

脚をその場に踏み留めんとす


はぐれぬようにと仲間と声掛け合い

おののくラクダ引く綱強く握り

重心を下げ風圧を低くす




その甲斐虚しく

彼らは既に半身を砂と化した



すべてを砂と化す風は

今まさに砂と化さむとする人々が

愛する人の声を伝う

ラクダの背に積まれた荷を

心待ちする人々の声運ぶ


その声はまるで風に弄ばれ

狂ったように紙屑が如く

流さる鳥のように






だがそんな時でさえオアシスは

歌うように水涌きいだす


気まぐれな宙(そら)吹きいだす風に

オアシスはその美しき顔に波紋寄せ

波紋は波紋を生み広ぐけれど・・・



乾いた砂漠の美しきオアシス

何にも歪むことなき

冷たく徹る横顔をさらけだし

オアシスの底は静かにその様を映しいだす



人々の身も心も癒す


オアシスは

オアシスは

オアシスは


ただその様を映し出すのみ……

 

 




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by Maryam051144 | 2015-05-29 17:01 | 短編




短編 ~風が風であるなら~







五月も二十日を過ぎ、

あなたの街の風も、

街路樹の青葉と同じ薫りを漂わせている頃でしょうか?



わたしの佇む異国の窓辺には、

南の町には澱んだ靄が気怠く寄りかかり、

北の山には緑萌え、

真っ青な空には大きく厚い真っ白な雲が、

灼熱の国の物語の、ランプの精のように突然姿をあらわして、

今年の猛暑の兆(きざし)をみせているようです。



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突然・・・


連絡を絶ったことをお許しください。


あなたの心に投石する行為だったら、お許しください。






わたしがこう望んだとか、

これで良かったのだとか、

わたしはわたし自身のことであるのに、

言い切ることができないでおります。



もしかしたら、


優柔不断で煮え切らぬわたし自身の心に、

身体が苛立ち、衝動的にお傍を立ち去ったのかもしれません。



わたしの身体は、

わたしが気づいているよりずっとずっと、

あなたのお近くにいるだけで甘ったれ、

ほっとかれたら弱くて脆い、


そんな 心 に我慢がならなくなっていたのかもしれません。



そしてまた、

あなたから少し離れさえすれば、

わたしの心はふたたび引き締まり、

地面をしっかり踏みしめるだろう、

そんなわたしの心の強さの一面を、


わたしの身体は知っていたのかもしれません。




・・・

・・・

・・・




こんなふうにもっともらしく、

あなたに書いてみてはいるけれど、

わたしがあなたに語る説明やら言い訳は、

まったく何の意味にも、理由にもなっていないし、

本当は意味も、理由もないのでしょう。








わたしはふと、こんな風に感じたのです。





無数のあなたという風が

無数のわたしという風が



この相対の世界のなかで



異なる風向きに

異なる温度

異なる強さで



時に 優しく混じり合い

時に 激しくぶつかり合い






いつでも

どこでも

吹き透っています





ある日突然


わたしがあなたと出逢い



また


ある日突然


わたし(あなた)が

あなた(わたし)の前から去っていくのは



あなたとわたしの正体が風であり



風が風であるならば



不自然ではなく



むしろ



自然の成り行きだったのではないか?



っと。









もしかしたら


いつかまた




おなじような時期の同じような気候に


少し温度と風向きを変えて



あなたという風と


わたしという風は



出逢うのかもしれません・・・




そしてまた





出逢うことは




二度とないのかもしれません・・・









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by Maryam051144 | 2015-05-24 04:39 | 短編