特等席
かけ登るはんとう棒の先端(さき)で待つ
空と一重に横たはる海
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休み時間を知らせるチャイム
古い小学校の廊下と階段を突っ走ると
校舎は老骨に鞭打つように反応し
窓ガラスの振動がビリビリ音で追いかけて来たっけ
でもごめん、悪いけど....
今、あなたと追いかけっこする気ないんだ
ってあたしは胸の裡でこたえた
だって........
あたしが目指すのは校庭の東
そこにあるあたしの身丈の3倍はあった
はんとう棒だったんだもん
校庭からは海は見えなかったけど
はんとう棒のてっぺんに登って
はんとう棒とはんとう棒を横に結ぶ細い鉄棒の上
そこがあたしの特等席
そこからは微かに遠くに海が見えたから
そして海は
晴れてても
曇ってても
霞んでても
いつだって空とその身重ねて横たわってた
by Maryam051144
| 2015-08-24 20:20
| 素描